ネクタイ姿でケーブルを張る
文書を作るときにWordをなんとなく使いたくならないのは、
文字を打ったときの反応がコンマ数秒遅れるからだと思っています。
反応の遅い装置で仕事をすると、
なんとなく発想も遅くなってしまいそうな気がするのです。
仕事の効率、という言葉と一緒に
よく「時間単価」という言葉が出てきます。
労働作業は続けると気持ちがすっきりするので
ケーブル張りをしたりするのですが、
「任せられるものは任せてしまいなさい」と
時々上のほうから指示が飛んできます。
確かにケーブル張りは
電工の専門家に頼んだほうが早くて正確です。
ところが電工さんを頼むのに手間がかかり、
細かくケーブルの経路を説明するのに時間がかかり、
日中のスケジュールの調整をするとあっという間に
数日なくなってしまいます。
つまり外注にすると
小さな仕事ではオーバーヘッドが無視できなくなるのです。
見積もりの時には
このオーバーヘッドを勘定に入れることが大切です。
「プラグマティズムの徹底した国」とは
ある先生の言葉ですが、
アメリカでは分業すると決めたら徹底的に分業していて、
これは「相手の仕事をしてはいけない」という意味にもなります。
それで膨大なオーバーヘッドを抱えることになります。
なんでも自分でやる、
なんでも外注する、のどちらにも最適解はなく、
その判断に多くの知性が要求されるようです。